ガスまみれの旭岳、でも帰り道に奇跡の絶景

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はじめに

旭岳とは

旭岳(あさひだけ)は、北海道の中央部にそびえる大雪山系の主峰であり、標高2,291メートルは北海道で最も高い山です。その存在感から「北海道の屋根」とも呼ばれ、雄大な自然と豊かな生態系に恵まれています。

大雪山国立公園の一部に位置し、夏は高山植物の花畑が広がり、秋は日本一早い紅葉、冬はスキーや雪山登山と、四季折々の表情を見せてくれる名峰です。

また、山の中腹までは「旭岳ロープウェイ」を利用でき、比較的アクセスしやすいのも魅力の一つ。登山者だけでなく、観光客にも人気があり、山麓の旭岳温泉では登山後の疲れを癒すこともできます。

ただし、天候は変わりやすく、特に山頂付近はガスに包まれることが多いため、しっかりとした準備と注意が必要です。自然の厳しさと美しさをあわせ持つ、北海道を代表する山、それが旭岳です。

登山の目的・選んだ理由

今回旭岳を選んだのは、ずばり「北海道最高峰に一度は登っておきたかった」というシンプルな理由から。2,291メートルという高さに加えて、ロープウェイで標高1,600メートル付近まで一気に上がれるため、実際の登山としてのハードルはそこまで高くありません。

それでいて、大雪山系のど真ん中に位置する旭岳は、スケール感、自然の迫力、景観の豊かさが群を抜いていて、「北海道の屋根」と呼ばれるのも納得の存在感。運が良ければ、火口の噴気やお花畑、遠く十勝岳連峰までの大パノラマを一望できる…そんな絶景に期待してのチャレンジでした。

加えて、登山口のすぐ近くに温泉があるのも魅力のひとつ。登って、癒されて、帰る。そんな贅沢な時間を味わえるのが旭岳だと思い、今回の山旅の目的地に選びました。

アクセス・登山ルート

使用ルート

今回の旭岳登山は、旭岳ロープウェイを利用して「姿見駅」から山頂をピストンするルートを取りました。早朝の澄んだ空気の中、6時30分に姿見駅を出発。まだ観光客の少ない静かな登山道を、ガスの中黙々と進みます。

しばらく歩いて6時54分頃に旭岳石室へ。そこからさらに登っていくと、岩場が現れ、8時過ぎに金庫岩、ニセ金庫岩を通過。視界は悪いながらも慎重に進み、8時39分には旭岳山頂(2,291m)に到達。山頂は残念ながら完全にガスに包まれていて、景色は一切見えませんでしたが、それでも北海道最高峰に立ったという満足感はしっかりと味わえました。

山頂で軽く休憩したのち、8時43分頃から下山開始。すると、次第に雲が晴れはじめ、金庫岩付近まで戻ってきた頃には、山肌や遠くの風景が少しずつ顔を出し始めます。

9時半前には再び旭岳石室に戻り、そこからは余裕を持って周辺を散策。噴気活動展望台に立ち寄り、噴煙が上がるダイナミックな景色も楽しみました。最後は姿見の池周辺をのんびり歩きながら、10時過ぎに姿見駅に帰着

登りは完全にホワイトアウトの中でしたが、下山途中から見え始めた絶景はまさにご褒美。天候の移り変わりの中で、山の魅力と気まぐれさの両方を味わえる印象的な登山になりました。

登山口までのアクセス方法

🚗 車でのアクセス

札幌方面からは高速道路を利用し、旭川方面へ約2時間30分。旭川市街からは約1時間ほどで、登山口となる**「旭岳温泉」へ到着します。ロープウェイ山麓駅には有料駐車場**(普通車500円/日)が整備されており、マイカーでのアクセスも便利です。

🚌 公共交通機関でのアクセス

公共交通を利用する場合は、以下のルートが一般的です:

  • JR旭川駅から旭岳温泉行きのバスに乗車(約1時間40分)
     → 運行本数が少ないため、事前に時刻表を要確認。
     → 到着後、徒歩数分でロープウェイ乗り場へアクセス可能。

また、夏季や秋の紅葉シーズンには臨時バスやツアー便が運行されることもあります。

登山レポート

ガスガスの登り

姿見駅を出発した時点で、すでにあたりは真っ白な世界。期待していた旭岳の雄大な姿はどこにも見えず、目の前の登山道すらぼんやりとしか確認できないほどの濃いガスに包まれていました。

視界はおそらく10〜20メートルほど。先行者の背中もすぐに霧の中へ消えていき、足元の岩や雪の感触を頼りに一歩ずつ登っていきます。風は強くないものの、湿った空気と冷気が肌にじわじわ染み込んできて、まさに「山に飲まれる」という表現がしっくりくるような不思議な静けさ。

時折、看板やケルンが現れるたびに「今どの辺まで来たのか」を確認しながら、ただ淡々と登る。旭岳石室を過ぎ、金庫岩を越えていく頃には、もはや無心に近い状態で足を動かしていました。

そして山頂。もちろん、何も見えません。見えるのは自分のザック、登頂プレート、そして濃密なガスだけ。それでも、不思議と「登ったんだな」という満足感がこみ上げてきます。景色が見えなくても、登った実感はちゃんと残るんだな、と改めて感じた瞬間でした。

下山で一気に晴れた青空

山頂では何も見えなかったのに、運命の分かれ道は下山後すぐに訪れました。金庫岩を過ぎたあたりで、ふと空が少し明るくなったように感じて顔を上げると――一気にガスが晴れて、真っ青な空が広がり始めたのです。

つい数十分前まで真っ白だった世界が、まるで嘘のよう。ガスがスーッと引いていくと、目の前には旭岳の山肌、火口の噴煙、そして大雪山の大パノラマがドーンと現れました。まさに“ご褒美”という言葉がぴったりの絶景です。

朝のガスに包まれた静けさも悪くはなかったけれど、やっぱりこの広大な景色に出会えた瞬間の高揚感は格別。それまでの疲れが一気に吹き飛ぶようで、足取りも自然と軽くなります。

噴気活動展望台では、白煙を上げる火口を間近に見ながらしばしの絶景タイム。風が吹くたびに雲が形を変え、青空とガスの境界線が目の前で揺らめく光景は、言葉では言い表せないほど幻想的でした。

「晴れてから登っていれば…」なんて一瞬思ったけれど、あの真っ白な山頂を経験したからこそ、この青空が何倍も心に響いたのだと思います。山の気まぐれさに振り回されながらも、最後にはちゃんと微笑んでくれる旭岳に感謝

まとめ

反省と注意点

今回の旭岳登山で一番感じたのは、「山の天気は本当に読めない」という当たり前のことの難しさでした。登り始めから下山するまで、状況はめまぐるしく変わり、特に濃いガスの中での登山は、思った以上に精神的に疲れるものでした。

視界が悪い中での登りは、ルート確認に時間がかかるだけでなく、景色が見えないぶん気持ちのリズムも作りにくく、体力以上にメンタルの消耗が大きかったと実感。また、岩が濡れて滑りやすくなっていたため、滑落や転倒のリスクも通常より高かったです。事前に天気が悪くなる可能性をもう少し真剣に検討して、場合によっては出発を遅らせるなどの判断も必要だったかもしれません。

もうひとつ反省点としては、写真や動画を撮る余裕がなかったこと。景色が真っ白で「どうせ写らない」と諦めてしまいましたが、あとで振り返ると「ガスまみれの旭岳」もそれはそれで記録として残しておけばよかったと思いました。

注意点としては、旭岳はロープウェイで標高を一気に上げられる分、天候が急変しやすく、気温差も大きいです。防風・防寒装備は必須。また、標高が高いため、低酸素や高山病の初期症状にも注意が必要です。

そして、ロープウェイの運行時間も大事なポイント。悪天候で急に止まることもあるので、時間には余裕を持って行動し、最悪は徒歩で下山できる心構えも忘れずに。

良かった点

今回の旭岳登山で特に良かったと感じたのは、自然の多様な表情を一度に体験できたことです。登りではガスに包まれ、幻想的で神秘的な山の一面を味わい、下山では青空の下で雄大な大雪山の絶景を楽しむという、まさに対照的な景色を味わえました。

また、旭岳ロープウェイを利用したことで、体力に自信がない人でも比較的気軽に標高の高い場所までアクセスでき、短時間で北海道最高峰の山頂を目指せる点も大きな魅力です。登山初心者や観光目的の方にもおすすめしやすいルートだと感じました。

さらに、下山後に訪れた旭岳温泉の温かい湯に浸かり、疲れをしっかり癒せたのも嬉しいポイント。自然と温泉の両方を楽しめる充実した山旅となりました。

そして何より、天候に左右されながらも、最後に晴れ間が見えた瞬間の感動は何ものにも代えがたく、「山は待っていてくれる」と実感できたことが大きな収穫です。

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