はじめに
四阿山・根子岳とは

■ 四阿山(あずまやさん)
- 標高:2,354m(日本百名山)
- 場所:長野県上田市・群馬県嬬恋村
- 特徴:
- なだらかで登りやすく、初心者にも人気
- 山頂は広くて見晴らしがよく、浅間山や北アルプスも望める
- 火山だが、比較的穏やかな地形
- 高原の雰囲気が気持ちよく、スキー場を経由するルートもある

■ 根子岳(ねこだけ)
- 標高:2,207m
- 場所:四阿山の南東に位置
- 特徴:
- 草原のような山容で、冬はバックカントリースキーでも人気
- 花の百名山にも選ばれており、夏の高山植物が豊富
- 山頂からの眺望もよく、四阿山とセットで登られることが多い
アクセス・登山口情報
菅平牧場登山口までのアクセス

四阿山・根子岳の登山で定番となっているのが、菅平牧場登山口からのスタート。長野県上田市側からアクセスでき、駐車場やトイレも整備されているので初心者にも安心の登山口です。
上信越自動車道の上田菅平ICを下りて、国道144号 → 県道94号を通って約40分ほど。牧場エリアに入ると視界が一気に開けて、高原らしいのどかな風景が広がります。標高もすでに1,500m前後あるので、車を降りた瞬間から空気がひんやりして気持ちがいいです。
登山口周辺には**有料駐車場(500円)**があり、係員の方が常駐していることも。台数も比較的多く、紅葉シーズンでも早朝に着けば停められる可能性が高いです。
また、登山口には簡易トイレと登山届ポストも設置されています。牧場内の一部は牛が放牧されているので、ゲートの開け閉めや立入禁止エリアには注意を。
なお、晩秋は早朝の路面凍結に注意。カーブが続く山道もあるため、スタッドレスタイヤの装着や安全運転を心がけましょう。
トイレや登山届ポストの有無

菅平牧場登山口には、簡易トイレと登山届ポストが設置されています。
トイレは登山口のすぐ手前、駐車場の脇にある簡易トイレで、清掃状態は時期によってばらつきがありますが、使用には特に問題ありません。ただし、水洗ではないため、必要に応じて携帯トイレを持参しておくと安心です。
登山届は、トイレ付近の案内板のそばにある登山届ポストに提出できます。紙の届出用紙と筆記具も備え付けられていますが、天候や混雑状況によっては記入しにくいこともあるので、事前に**オンラインでの提出(例:コンパス)**もおすすめです。
なお、周辺に売店や自販機などはないため、水分や行動食は登山口に着く前に準備しておきましょう。
登山ルート・タイムログ

時刻 | 行動 | 補足 |
---|---|---|
10:06 | 登山開始(菅平牧場) | 牧場内のなだらかな道を進む。ススキが秋らしく風に揺れていて気持ちいいスタート。 |
11:37 | 根子岳山頂到着 | 山頂は広く、浅間山が正面に見えて感動。草原状で風も強め。 |
12:06 | 根子岳出発 | 縦走路へ。ここから四阿山へは本格的な登りに。 |
12:48 | 根子岳分岐 | 鞍部の登り返しが地味にきついが、風景が良く励まされる。 |
14:19 | 四阿山山頂到着 | 百名山らしい広い山頂で、標識前は写真スポット。風が冷たく、防寒着が必須。 |
14:50 | 四阿山出発 | 中四阿方面へ縦走開始。静かな下山ルートで人は少なめ。 |
15:22 | 中四阿 | 樹林帯に入り、少し足場が荒れてくる。展望は控えめ。 |
15:52 | 小四阿 | 小ピーク。少し開けている箇所もあり、菅平の風景がちらり。 |
16:45 | 四阿山登山口(中四阿ルート) | 林道に出て無事下山。 |
16:55 | 菅平牧場駐車場戻り | やや日が傾き始めていたが、風景は最後まで美しかった。 |
秋の四阿山・根子岳の魅力

四阿山・根子岳の縦走は、季節によってさまざまな表情を見せてくれますが、特におすすめなのが秋の晴れた日。10月下旬のこの日は、空気が澄みわたり、遠くまでくっきりとした展望が楽しめました。
登山の出発点である菅平牧場では、広がる草原とススキが秋風に揺れていて、まるで絵本の中を歩いているかのよう。牧草地の優しい色合いと空の青さのコントラストがとても美しく、歩き始めから心が癒されます。

まず登る根子岳は、登山道も山頂も開けた草原状で、見晴らしが抜群。特に秋は、浅間山を正面に望む壮大な景色が広がり、登りの疲れを忘れさせてくれます。登山というより、丘を歩いているような気持ちよさがあり、初心者にもおすすめの山です。

一方、縦走先の四阿山は、堂々とした百名山らしいたたずまい。山頂は広く、風が冷たい分だけ空気が澄んでいて、北アルプスや志賀高原方面まで一望できる素晴らしい展望が待っています。根子岳のなだらかな印象とは対照的で、同じ日にまったく違う山の個性を楽しめるのがこの縦走の醍醐味です。

そして、四阿山から中四阿・小四阿へと下っていく静かな稜線歩きも、秋ならではの魅力があります。登山者が少なく、落ち葉が敷き詰められた登山道を踏みしめながら歩く時間は、まさに秋の森に包まれるようなひととき。鳥の声と木漏れ日が心地よく、最後まで自然の美しさに浸ることができました。
夏のにぎやかさが落ち着いた、静かで透明感のある秋の縦走路。四阿山・根子岳は、まさにこの季節にこそ訪れたい山です。
感想・まとめ

四阿山・根子岳の縦走は、秋ならではの静けさと美しさをじっくり味わえる、とても満足度の高い山旅でした。
牧場から始まるやわらかな草原の道、風に揺れるススキと青空のコントラスト。根子岳からの眺望は想像以上に広がっていて、浅間山がまるで屏風のように正面に構えていました。そして、縦走路を経て辿り着いた四阿山では、百名山らしい重厚な雰囲気と壮大な景色に圧倒されました。

なだらかな根子岳と、どっしりとした四阿山。それぞれの山の個性を感じながら歩けるこのルートは、「縦走の醍醐味」がギュッと詰まっています。
後半の中四阿・小四阿を経由する下山路は人も少なく、落ち葉の香りと静かな森の空気に包まれて、秋の終わりを感じるような穏やかな時間でした。
紅葉のピークは少し過ぎていたものの、草紅葉やカラマツの黄葉、そして澄み切った秋の空が、それを補って余りある美しさでした。
次に訪れるなら、雪が降る前の晩秋か、あるいは新緑の頃もきっと美しいはず。
四阿山と根子岳、季節を変えてまた歩きに来たい、そう思わせてくれる素晴らしい縦走コースでした。
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