2024年7月14日、北海道の名峰・トムラウシ山に登ってきました。
この日はまさに“夏山日和”と呼ぶにふさわしい快晴。空には雲ひとつなく、山々の稜線がどこまでもくっきりと見渡せる、奇跡のような一日でした。
もともと「天候が変わりやすく、簡単には登らせてくれない山」という印象があったトムラウシですが、今回はそのポテンシャルを最大限に味わえる、まさにご褒美登山に。
その一日の記録と、圧巻の景色を写真とともに振り返っていきたいと思います。
トムラウシ山とは?
大雪山系の中での位置づけ

トムラウシ山は、北海道の屋根とも称される大雪山系の中に位置する標高2,141mの山で、「大雪山の奥座敷」とも呼ばれる存在です。
旭岳や黒岳のような有名どころに比べるとアクセスがやや難しく、人の気配も少ないため、より原始的で手つかずの自然を感じられる山として登山者の間で特別な存在感を放っています。
山頂からは大雪山系の主稜線が一望でき、晴れた日には十勝岳連峰や遠くトムラウシ公園の湿原まで見渡せる大パノラマが広がります。
その圧倒的なスケール感と静寂さから、「北海道のアルプス」と表現されることも少なくありません。
山の特徴

トムラウシ山の魅力は、なんといってもその圧倒的なスケールの自然と静けさ。
標高2,141mと決して日本でも最高峰クラスではありませんが、登山道中には広大な高原、岩稜帯、雪渓、そして湿原と、多彩な地形が次々に現れます。歩くだけで自然の変化を体感できる、まさに“自然のテーマパーク”のような山です。
また、登山口から山頂までの距離が長く、日帰りではややタフなコースとなるため、登山者の数も少なめ。その分、静かな稜線歩きが楽しめるのも大きな特徴です。
経験者の間では「晴れた日のトムラウシは日本屈指の絶景」とも言われるほどで、条件がそろった日には忘れられない山行になること間違いなしです。
登山計画と装備
登山ルートの選択
今回選んだのは、最も一般的なアプローチとなるトムラウシ短縮コース。その名の通り、標高差や距離が比較的抑えられており、日帰りでのアタックも現実的なルートです。
登山口には早朝4:43に到着し、まだ薄暗い中でのスタート。序盤は緩やかな登りが続き、携帯トイレブース(06:55)を過ぎたあたりから徐々に開けた景色が現れ始めます。
前トム平(07:59)では視界が一気に広がり、ここからは名物でもある広大なトムラウシ公園(08:41)を横切るように進んでいきます。
このトムラウシ公園の一帯は本当に圧巻で、見渡す限りの草原と点在する岩が、まるで別世界のよう。ここを抜けてからが最後の登りで、トムラウシ山山頂(10:38)に到着したのはスタートから約6時間後でした。
下山も同じルートをたどり、休憩を含めて全行程約10時間。長丁場ではあるものの、トレイルは比較的整備されており、急登も少ないため、体力と時間に余裕があれば日帰りも可能な好ルートです。
【日本百名山】トムラウシ山 登山 / HAL9000さんの大雪山系・旭岳・トムラウシの活動データ | YAMAP / ヤマップ
日帰り or テント泊

トムラウシ山はそのスケールの大きさと自然の豊かさゆえに、夏山でもルートの距離が長く、行動時間も長くなる山です。特にトムラウシ短縮コースであっても、往復で約10時間以上の行程となるため、体力と計画性が求められます。
一見すると、途中でテント泊をしてのんびり縦走したくなるようなルートですが、実はそれが難しいのがこの山の特徴でもあります。というのも、このエリアはヒグマの生息域としても知られており、特に夏場はヒグマの活動が活発になる時期。そのため、テント泊を伴う登山は非常にリスクが高く、現実的ではありません。
安全を優先するなら、基本的には日帰りでの登頂を目指すのがベスト。早朝に出発し、時間に余裕をもって行動することが大前提となります。体力に自信がない場合は、縦走ではなくトムラウシピストンに絞って、景色や自然をゆっくり味わうプランが安心です。
装備や持ち物について
トムラウシ山の日帰り登山に必要な装備と持ち物は、山の厳しい環境と長時間の行程を考慮し、しっかりと準備することが大切です。特に天候の急変やヒグマ対策を考えると、以下の装備は欠かせません。
必須装備:
- 登山靴:しっかりとしたグリップと防水性のある登山靴が必須。岩場やぬかるみが多いので、足元が安定する靴を選びましょう。
- レインウェア上下:急な天候の変化に備えて必須。防風・防寒としても使えるので、多機能なものを選ぶと良いです。
- 防寒着(フリースや薄手のダウン):夏山でも、朝晩や山頂付近は冷えるため、1枚あると安心。
- ヘッドライト:早朝スタートや予期せぬ遅れに備えて、必ず持参。バッテリーの予備もお忘れなく。
- 登山用帽子・サングラス:晴れた日には日差しが強く、特に雪解け時は反射光で目が疲れるので必要です。
ヒグマ対策:
- 熊鈴:鈴音で自分の存在を知らせ、ヒグマとの遭遇を避けるために必要。
- 熊スプレー:万が一のために、ヒグマに対する防衛手段として携帯。特に北海道の山では重要です。
食料・水分:
- 水(2L以上):標高が高くなると喉が渇くので、途中の小川や水場も考慮して余裕を持った水分補給を。
- エネルギーバー・ナッツ類・フルーツ:長時間歩くので、エネルギー補給できる軽食を多めに持参。
- 食事用具(軽量クッカーなど):もし途中で火を使って温かい飲み物を摂る予定があれば、忘れずに持参。
その他:
- 携帯トイレ:トムラウシ公園エリアにはトイレがないため、携帯トイレを持参し、適切に使用することがマナーです。
- 地図・コンパス・GPSアプリ:ルートの確認や道迷い防止のために必要です。大雪山系は特に視界が開けているため、計画的に行動できると安心。
- ファーストエイドキット:軽い怪我や不調に備えて、絆創膏や消毒液など簡易的な応急処置セットは持っておくと良いでしょう。
登山当日の朝
アクセスと駐車場の状況

トムラウシ山へのアクセスは、街中から車で約3時間ほどの距離。長時間の移動となるため、早朝の出発が必須です。特に夏のシーズンは人気の山で、朝のうちに多くの登山者が集まるため、早めの出発が鍵を握ります。
登山口付近の駐車場は、朝4時にはすでに9割が埋まっている状態でした。広い駐車場ではありますが、駐車できる台数にも限りがあり、人気の山域であるため、早めに到着することをおすすめします。遅めの到着になると、駐車場が満車で近隣の駐車場を利用することになったり、最寄りの登山口まで徒歩で移動しなければならないことも考えられます。
朝の早い時間帯に出発すれば、余裕を持って駐車でき、スムーズに登山を開始できるので、事前に交通機関や所要時間を確認しておくと、より快適に登山を楽しむことができます。
出発時間と気温
車の出発時間は朝の1時半。早朝のまだ薄暗い時間帯に出発し、車で約3時間かけてトムラウシ山の登山口へ向かいました。山に入ってからの道中はかなりの酷道で4駆の車が望ましいです。北海道のレンタカーはほぼ4駆なのでその辺は心配なさそうです。
登山口に到着したのは、朝4時過ぎ。駐車場にはすでに多くの車が停まっており、人気の高さを感じさせます。気温はまだ低く、山の冷気が肌に感じられる程度でした。特に早朝は涼しく、登山前の準備やストレッチをしている間に体温が上がるのを感じましたが、標高が上がるにつれてさらに気温は下がり、出発時点の気温は約10℃前後でした。
登山を始める前に、防寒着やレインウェアなどをしっかりと準備し、風をしのぐことができるようにしておくと、快適に登山をスタートできます。
登山口の雰囲気

登山口に到着した時、すでに多くの登山者が集まっており、静けさはほとんど感じられませんでした。朝の5時過ぎだというのに、駐車場にはすでにほぼ満車の状態で、登山口周辺は、すっかり活気づいており、登山者たちがそれぞれ準備を整えていました。
その中でひときわ目を引いたのが、オーダースーツSADAの社長と思しき人物。なんと、スーツ姿で登山準備をしている姿に驚きました。登山者の中では一際異彩を放ち、スーツのシャープなラインと登山道具の組み合わせがユニークな光景でした。そんな珍しい光景にもかかわらず、皆さんの表情には期待と興奮がにじみ、登山前のワクワク感が感じられました。
登山口は非常に賑やかで、静かなスタートではありませんでしたが、その分登山者たちのエネルギーが感じられ、いよいよ本格的な山登りが始まるという高揚感に包まれていました。
快晴の登山道を歩く
樹林帯から抜けたあとの景色

樹林帯を抜けると、一気に視界が開け、絶景が広がりました。山の中腹から下界を見渡すと、広がる大自然が目に飛び込んできました。緑の濃い山々と、その間を縫うように流れる小川が見え、まるで絵画のような風景が広がっています。空は青く晴れ渡り、雲ひとつない快晴の中で、山頂を目指す登山者たちの姿が遠くに見えました。

樹林帯の中では、足元に注意を払いながら歩くことが多かったため、視覚的には少し窮屈に感じることもありましたが、ここからの景色はまさに一転して、開放感に満ちていました。空気が清々しく、山頂に向かって歩を進めるたびに、景色の美しさに感動を覚えながら、心も軽やかになりました。
遠くに見えるトムラウシ山の雄大な山容が、さらに登山の楽しさを引き立て、足取りが軽くなるのを感じました。晴れ渡った空と広がる大自然の美しさに包まれ、登山の醍醐味を存分に感じることができました。
各ポイントでの展望
登山の途中、いくつかのポイントで素晴らしい展望を楽しむことができました。標高が上がるごとに、景色がどんどん広がり、山の魅力を実感しながら歩きました。

まず最初に印象的だったのは、前トム平の広がる草地から見渡す風景でした。ここからは、周囲の山々が一望でき、特に大雪山系の山々が壮大に連なる様子が圧巻でした。晴れ渡った空と相まって、まるで大自然の中に包まれているような気分に浸りながら、景色を堪能しました。
次に登るにつれて、トムラウシ公園周辺では、山頂への道のりがだんだんと近づいてきて、山の稜線が鮮明に浮かび上がりました。周囲の大きな岩や草原と一緒に、道を進むたびにその景色の壮大さが実感できました。

さらに登ると、トムラウシ山の山頂が少しずつ近づき、最後の登りの途中での展望が絶景でした。眼下に広がる大自然、遠くに見える他の山々、そして風に揺れる草原が美しく調和し、心が癒される瞬間でした。山頂に近づくごとに、これから踏み込む景色への期待が膨らみました。
それぞれのポイントで、視界が広がるたびに新たな驚きがあり、このトムラウシ山の登山路を歩いている間中、絶え間ない感動がありました。
想定外の緊張感──ヒグマとの遭遇体験

今回の登山中、思わぬ場面でヒグマを目撃する瞬間がありました。場所は、登りの途中、トムラウシ公園を過ぎたあたり。開けた景色の中を歩いていたとき、ふと遠くを見ると、2〜300メートル先に黒い大きな影を確認しました。
その影は明らかにヒグマ。ですが、こちらの存在には気づいていない様子で、のんびりと山の中を移動していました。距離が十分にあったため危険を感じることはなく、静かに様子を見守る形となりました。
今回のように、直接的な危険がなかったとしても、ヒグマが生息している山域にいることを改めて意識する必要があると痛感しました。行動中は周囲への注意を怠らず、常に「出会うかもしれない」という気持ちで慎重に行動することの重要性を再確認した体験でした。
山頂からの絶景
360度の大パノラマ

山頂に到達した瞬間、360度の大パノラマが広がり、その美しさに圧倒されました。眼下に広がる大自然の景色は、まさに息を呑むほどの絶景で、遠くまで見渡すことができました。周囲の山々が壮大に連なり、その雄大さは言葉では表現しきれないほど。特に大雪山系の山々が連なる姿が目を引き、まるで大自然の中に自分が小さな一部であることを実感しました。

北側には北海道の他の名峰が姿を見せ、東には緑豊かな大地が広がり、西には深い山々の稜線が浮かび上がっていました。南側では、晴れ渡った空とともに、まるで地平線がどこまでも続いているような錯覚に陥るほど。天気が良かったこともあり、遠くまで見渡せる透明感のある空気の中で、山の絶景を存分に楽しむことができました。

登山を終えた後、その素晴らしい景色が頭の中に焼き付いており、山頂で感じた圧倒的な開放感は今でも忘れられません。この360度のパノラマビューは、まさにトムラウシ山登山のハイライトであり、登る価値があると心から感じました。

また、登山口で出会ったオーダースーツSADAの社長とも再開し、一緒に写真も撮ってもらいました。
十勝岳連峰や大雪山系の眺望

山頂からの眺めでは、十勝岳連峰や大雪山系の壮大な姿を一望することができました。特に、東側に広がる十勝岳連峰の連なりが圧巻で、その雄大さに思わず息を呑みました。標高が高いため、遠くまで広がる山々の姿がクリアに見え、まるで壮大な絵画を目の前にしているような感覚に包まれました。十勝岳の山頂がしっかりと確認でき、その周囲の山々が一望できる景色は、登山者にとってはまさに一生の思い出になる瞬間でした。
そして、西側に目を向けると、大雪山系の広がりが見事でした。大雪山をはじめ、連なる山々の雪を冠した頂が、晴れ渡った空の下で輝き、その力強い姿に圧倒されました。大雪山のシルエットが山頂の近くからでもはっきりと見え、遠くの山々が美しい稜線を描いている様子がとても印象的でした。
これらの景色を見渡すことができる場所に立つと、トムラウシ山がどれだけ特別な位置にあるかを実感します。山岳信仰や自然への畏敬の念が湧き上がり、山々の力強さに感動しきりでした。十勝岳連峰や大雪山系の眺望は、登山の一番の醍醐味とも言えるもので、これらの美しい景色に包まれながら山頂に立つ瞬間は、まさに登山者にとって最高のご褒美です。
下山と余韻
下山ルートの様子

下山は登りとはまた違った景色を楽しみながら進むことができました。山頂を後にし、最初は緩やかな下りが続き、登山道に足を踏み入れると、木々の間から差し込む日差しが心地よく、少し疲れた体に温かさを感じさせてくれました。標高が下がるにつれて、周囲の景色が変わり、植生の違いが如実に現れてきました。
前トム平付近では、草原の広がる風景が広がり、風に揺れる草花や木々の音が心を落ち着かせてくれました。ここでは周囲の景色を楽しみながら、登りとはまた違った開放感を感じることができました。ゆったりとした気持ちで歩けるこの区間は、下山ならではの魅力のひとつでした。
さらに進むと、トムラウシ公園を通過する頃には、森林に包まれた静かな道が続き、登山道は徐々に緩やかになり、歩きやすさが増してきました。周囲の木々が作り出す自然の陰に、涼しさを感じながら、下山の疲れも少しずつ癒されました。

下山中に注意を払ったのは、道が滑りやすく、特に岩場や湿った地面の部分で足元に気をつけることでしたが、周囲の自然とともに、無事に下山することができました。下山中は、登りの際に気づかなかった小さな発見や、違った角度から見る景色の美しさにも気づき、新たな楽しみを見つけることができました。
登山後の疲労感と充実感

登山を終えた後、達成感と同時に体の疲れがじわじわと押し寄せてきました。特に、トムラウシ山の距離は長く、下山後には足に水膨れができるほど。長時間歩き続けたことによる筋肉の疲れも感じ、足元が痛むのが少し辛かったですが、それでもどこか心地よい疲れでした。
しかし、その疲れを感じる間もなく、登山中の素晴らしい景色や、山頂で味わった達成感が心を満たしていて、「この疲れはすべて素晴らしい景色と経験の代償だ」と思えるほど、充実感が勝っていました。特に山頂に立った瞬間の景色や、遠くまで見渡せる絶景は、体の疲れを一瞬で忘れさせてくれるほどの感動を与えてくれました。
下山後には、その疲労感の中にも「やり遂げた」という満足感があり、足の痛みを感じる度に、この登山が自分にとってどれだけ大きな経験だったかを実感しました。足元のケアをしながら、これからの登山計画や、新たに見えた課題を振り返りつつ、充実感を感じる時間となりました。
無事下山後の達成感

無事に下山を終えたとき、疲れと共に深い達成感が胸に広がりました。長時間の登山と過酷な道のりを乗り越えた後、無事に登山口に戻った瞬間、ホッとした気持ちと同時に、これまでの苦労が報われたような満足感が込み上げてきました。足の痛みや水膨れの不快感があったものの、それらはすべて、登山を通して得た貴重な経験の証だと思うと、達成感の方が圧倒的に強かったです。
山頂での絶景を思い出すと、疲れた体も軽く感じ、登りの途中で感じた苦しみや不安が一気に吹き飛びました。登頂の瞬間や景色の美しさ、自然の壮大さを体験したことが、何にも代えがたい価値のあるものだと実感しました。登山を通じて得た達成感は、単なるフィジカルな満足にとどまらず、心に深く刻まれる特別なものです。
下山後に仲間と顔を合わせて「無事に帰ってきたね」と言い合う瞬間、その言葉に含まれた意味の大きさを感じながら、登山という挑戦を乗り越えた自分に誇りを持ちつつ、次の冒険への意欲も湧いてきました。
これから行く人へのアドバイス
天候判断と装備の重要性

今回の登山を通して、あらためて天候判断と装備の大切さを実感しました。トムラウシ山のような長距離・高低差のあるルートでは、ほんの少しの天候の変化が安全性を大きく左右します。今回は幸運にも快晴に恵まれ、美しい景色を楽しむことができましたが、もし天候が急変していたら、同じ行程でも全く違う結果になっていたかもしれません。
また、長時間の行動になる山行では、装備の選び方がそのまま快適さと安全性に直結します。水分や行動食の量、レイヤリング(重ね着)の工夫、レインウェアや防寒着の持参、予備バッテリーやヘッドライトの携行など、どれも欠かせない要素でした。今回は水膨れに悩まされる場面もあり、シューズや靴下のフィッティングも重要だとあらためて痛感しました。
登山は自然を相手にするアクティビティだからこそ、事前の準備と判断力がものを言います。万全の準備をしたうえで、それでも自然に対しては謙虚に、慎重な判断を心がけること。それが、また次の山にも安心して挑める力になると強く感じました。
水分補給と行動食の準備

長時間の山行となるトムラウシ山では、水分補給と行動食の準備がとても重要でした。今回は快晴で気温も高く、思った以上に汗をかき、こまめな水分補給を意識しないと脱水のリスクがありました。出発前に水は2リットルほどを用意し、休憩のたびに少しずつ飲むことを心がけました。
また、長時間歩き続けるためには、エネルギー切れを防ぐための行動食も欠かせません。今回は以下のようなものを持参しました:
- 塩分入りのナッツミックス
- カロリーメイトやSOYJOYなどの栄養バー
- 小分けのチョコレートやグミ
- 塩タブレット(熱中症対策)
- パンやおにぎりなど、行動中でも食べやすい軽食
行動食は「少し空腹を感じたらすぐ食べる」くらいの感覚が大事で、一度エネルギーが切れてしまうと回復に時間がかかります。特に後半、疲れが出てくるタイミングで軽く糖分を摂取すると、脚がしっかり動くようになる感覚がありました。
水と行動食は「なんとなく」ではなく、登山当日の気温や距離、行動時間を想定した上で計画的に用意することが、安全で快適な登山の鍵になると感じました。
景色を楽しむ余裕を持とう

ムラウシ山の登山では、ただ頂上を目指すだけでなく、道中の景色を楽しむ心の余裕を持つことがとても大切だと感じました。特に今回のような快晴のコンディションでは、進むたびに変わる景色や、遠くに見える十勝岳連峰、大雪山系の雄大な山並みが素晴らしく、何度も足を止めたくなるほどでした。
登頂を意識するあまり、つい足元ばかり見てしまいがちですが、顔を上げて周囲を見渡せば、北海道の大自然が織りなす壮大な風景に心を癒されます。疲れた体も、景色を見ることでふっと軽くなるような感覚がありました。
登山はただの体力勝負ではなく、自然と向き合い、感じる旅でもあります。一歩一歩を焦らず、時には立ち止まって深呼吸しながら、目に映る景色をしっかり味わう。そんな余裕を持つことで、登山の楽しさが何倍にも膨らむと、今回あらためて実感しました。
おわりに
トムラウシ山の魅力を再確認
今回の登山で、あらためてトムラウシ山の持つ圧倒的なスケールと魅力を再確認することができました。道中の静かな樹林帯、開けた稜線からの大展望、トムラウシ公園の美しい地形、そして山頂から望む360度の大パノラマ。どの瞬間を切り取っても、「北海道の奥深さ」を体感できる絶景ばかりでした。
特に印象的だったのは、山頂付近で見た広大な空と連なる山々の光景。写真では伝えきれないスケール感と、風の音だけが響く静寂の中に身を置くことで、「ここに来てよかった」と心から思える瞬間がありました。
アクセスや行程の長さ、ヒグマへの対策など、簡単な山ではありませんが、だからこそ得られる感動があるのがトムラウシ山の真の魅力。何度登っても新しい発見があり、次はまた違う季節にも訪れてみたいと強く感じました。
コメント