欧風カレーの聖地へ!伝説のボンディに出会った話

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「神保町」と聞いてまず思い浮かべるのは、古本屋?学生街?
…いやいや、カレーでしょ。

東京のど真ん中にありながら、どこかレトロな空気が漂う神保町。実はこの町、**“日本一カレー店がひしめく場所”**とも言われている、知る人ぞ知る“カレーの聖地”なんです。

そんな神保町カレー巡りの中でも、“まずここを知らなきゃ始まらない”と言われる名店があります。
その名も——ボンディ

欧風カレーのパイオニアとして、何十年も愛され続ける老舗。
今回、ついにこの伝説の味に出会ってきました。

【プロローグ】カレー好きなら一度は行くべき場所、それが神保町

神保町が“カレーの聖地”と呼ばれる理由

神保町といえば、古書の街として有名ですが——実は、**“カレーの街”**としても全国的に知られているのをご存じでしょうか。

その理由のひとつは、街に密集する個性的なカレー店の多さ。駅から半径500m圏内に、欧風カレー・インドカレー・スープカレー・創作カレーなど、ジャンルも味もバラバラなカレー店がずらり。文字通り“カレー激戦区”なんです。

なぜこんなにカレー店が増えたのか?
その背景には、神保町の学生街としての歴史が関係しています。
このエリアには大学や専門学校が多く、昔から学生たちのお腹を満たす安くてボリュームがあって、美味しい料理=カレーが親しまれてきました。さらに、出版社や編集プロダクションも多いため、働く人たちの“短時間でしっかり食べられるランチ”としてもカレーが定着したそうです。

そして、ただ数が多いだけではなく、名店が揃っているのも神保町のすごいところ。
中でも、欧風カレーの代名詞として長年にわたり愛され続けているのが、今回訪れた**「ボンディ」**なんです。

カレーという料理が、文化として根付いている街——それが神保町。
“カレーの聖地”と呼ばれるのも、決して大げさではない理由がここにあります。

その中でも「伝説的存在」として語られるボンディ

数ある神保町のカレー店の中でも、まるで“カレー界の重鎮”のように語られるお店があります。
それが——欧風カレー専門店「ボンディ」

1973年創業。ボンディは、日本における“欧風カレー”というジャンルを確立したパイオニアとも言われています。フレンチの技法を取り入れた、濃厚でまろやかなルー。香ばしく煮込まれた具材。たっぷりのバターとチーズのコク。
それはまさに、“家庭のカレー”とは一線を画す、大人のごちそうカレー。

カレー好きのあいだでは、「ボンディに行かずして欧風カレーを語るな」とさえ言われるほど。
その実力は、多くのメディアやグルメランキングでも証明されています。食べログ百名店常連、老舗グルメ特集の常連。にもかかわらず、どこか“地元の名店”のような落ち着いた雰囲気も併せ持っているのが、またボンディの魅力です。

そしてなにより、「あの味、また食べたいな」と思わせる中毒性。
リピーターが後を絶たないのも、食べてみれば納得です。

神保町に数多くあるカレー屋のなかでも、なぜここまで語り継がれてきたのか。
それはきっと、一皿の中に“歴史”と“革新”が共存しているから——そんなことを思いながら、私はボンディの扉を開けました。

【街歩き】本とカレーの香りがする町、神保町

書店街とカレーの街という独特な文化的組み合わせ

神保町を歩くと、まず目に飛び込んでくるのは本、本、本。
古書店が軒を連ね、文学、哲学、歴史、芸術…あらゆるジャンルの書籍がぎっしりと棚に並び、まるでタイムスリップしたかのような気分になります。

ここは、日本最大の古書店街
出版・編集関連の会社や大学も多く、“知の街”としての側面を持つ神保町。

でもその一方で、道を歩けばあちこちから香ばしいスパイスの香りが漂い、カレー屋の看板が目に入ってくる。
本を片手に、どこかのカレー店へふらりと入る。そんな光景が、まるで日常のように広がっているのが、この町の不思議な魅力なんです。

本とカレー。
静かにページをめくる時間と、スパイスが舌にじんわり広がる時間。
まったく別のようでいて、どちらも“心を満たしてくれるもの”だからこそ、神保町という街のなかで自然に共存しているのかもしれません。

知的でありながら、どこか庶民的。
神保町のこの不思議なバランス感覚が、多くの人を惹きつけてやまない理由なのだと感じました。

カレー屋が多すぎて迷うが…まずは“原点”ボンディへ

神保町を歩いていると、どこを見てもカレー、カレー、カレー。
通りを1本曲がれば、また新たなカレー屋に出会う。看板を見ては「ここも美味しそうだな…」と立ち止まり、香りをかいでは「いや、あっちの店のスパイスが気になる…」とまた悩む。

正直、選べない。

でも——
「迷ったら、まずはボンディ」
これは神保町カレー巡りの鉄則なのだそうです。

その理由は簡単で、ボンディが“この街のカレー文化の原点”とも言える存在だから。
欧風カレーというスタイルをいち早く打ち出し、今ではあちこちにある“とろっと濃厚なルーのカレー”のルーツを辿ると、やっぱりここに行き着く。

数ある名店の中で、どこよりも早く、長く、カレーで勝負をしてきた場所。
この地において“伝説”と称されるのには、やっぱり理由がある。

だから私は、ぐるぐる迷う自分の心に一度けじめをつけて、原点回帰の一歩を踏み出すことにした。
「まずは、ボンディへ。」

【訪問記】ボンディ初体験、入口から“只者じゃない感”

レトロで落ち着いた雰囲気の外観・店内紹介

神保町駅から歩いて数分。目指す「ボンディ」はビルの2階にひっそりと構えています。
見落としてしまいそうな控えめな看板。でもそれが逆に、“隠れた名店感”を漂わせていて、心がくすぐられる。

階段を上がると、木目調の重厚な扉。そして中からはほんのりカレーの香り。
ドアを開けた瞬間、ふわっと広がるスパイスの香りと、どこか懐かしい喫茶店のような空間が迎えてくれます。

店内は、決して広くはないけれど、木のぬくもりが感じられるインテリアと、落ち着いた照明が心地よくて、まるで昭和の洋食屋さんを思わせるような雰囲気。
テーブルや椅子も、ちょっと年季が入っているけれど、それがむしろ“老舗の風格”を感じさせてくれます。

カウンター席で黙々とカレーを食べる常連さん。
テーブルで小声で会話しながら味わうカップル。
そんな静かな空気が漂う中、まるで映画のワンシーンに迷い込んだような感覚になります。

“ただ食べに来た”というより、“何かを味わいに来た”という表現のほうがしっくりくる。
そんな、ボンディならではの時間の流れがそこにありました。

老舗らしい重厚感、だけどどこかあたたかい空気感

ボンディに一歩足を踏み入れると、まず感じるのは静かな重み
長年、この場所で多くの人々を迎えてきたという**“老舗の空気”**が、店全体にゆっくりと流れています。

椅子やテーブル、壁に飾られた絵画やランプの明かり、どれもピカピカに新しいわけではないけれど、そこには手入れの行き届いた落ち着きと、丁寧に受け継がれてきた時間の重みがありました。

でも、不思議なことに決して緊張するような“高級店”の空気ではないんです。
店員さんの落ち着いた声や、ふと目が合ったときの優しい微笑み、
隣の席から聞こえてくる「やっぱりボンディだよね」という、どこか安心した声。

そう、ここには**“重厚”という言葉の中にちゃんと“あたたかさ”がある。**

たくさんのカレー好きを迎え、見送り続けてきた店だからこそ、
初めて来た私にも、どこか“帰ってきた”ような安心感がありました。

格式はあるのに、肩肘張らずにいられる。
これが、ボンディという店が長く愛され続ける理由のひとつなのかもしれません。

【実食レポ】これが“欧風カレーの最高峰”か…

ビーフカレーの魅力を徹底レポ

いよいよ運ばれてきた、ボンディのビーフカレー
まず目に入るのは、シンプルで上品な盛り付け。銀のお皿にたっぷり注がれた濃厚そうなルー。その横にはこんもり盛られたライス——そして、ライスの上には…なんと、とろけるチーズ!

一口目、スプーンですくって口に運ぶと、まず広がるのはバターのコクフルーティな甘み。でもすぐに、後からじんわりとスパイスの刺激が追いかけてきて、口の中がじわ〜っと温まってくる。
この「甘さ → 旨味 → 辛さ」の三段階攻撃が、クセになるんです。

そして何より感動したのが、ビーフの存在感
ごろっと大きめにカットされた牛肉は、スプーンで崩れるほどホロホロ
噛むまでもなく、口の中でとろけていく。しかも、ルーとの一体感がすごい。肉にしっかり味が染みていて、まさに主役。

付け合わせのほくほくのじゃがいもも、ボンディ名物。
これがまたカレーとの相性抜群で、バターを絡めてそのまま食べるのもよし、ルーにつけて贅沢に味わうのもよし。
“脇役のレベルが高すぎる”のも、このお店のすごさなんですよね。

一皿食べ終わるころには、もうお腹も心もぽかぽか。
「また来たい」と思わせるには十分すぎる満足感でした。

一口目で広がる、甘み→深いコク→香ばしいスパイスの波

スプーンですくって、ひと口。
その瞬間——**「あ、これはただのカレーじゃない」**って、ハッとする。

まずふわっと広がるのは、果物のようなやさしい甘み
まるで最初に「ようこそ」と迎えられたような、柔らかく包み込むような優しさ。
でも、それだけじゃ終わらない。

次にやってくるのが、ルーの奥深いコク
バターと生クリームのまろやかさ、そしてしっかり炒めた玉ねぎの甘さが重なり合って、口の中が一気に“豊か”になる感覚。
ひと口の中に、時間と手間を感じる複雑な層がある。

そして、遅れてやってくるのが——スパイスの香ばしさとほのかな辛み。
「甘いだけじゃないよ」と言わんばかりに、じわじわと舌の奥でスパイスが踊り出す。
その刺激がクセになる。むしろ、次の一口が待ちきれなくなる。

この**“波のように押し寄せる味の変化”**こそが、ボンディのカレーの真骨頂。
甘くて濃くてスパイシー。けれど、どこか上品で、計算されたバランス。
それが、食べ進めるごとにクセになっていくんです。

とろける具材、別添えのチーズ、ホクホクじゃがいも

ボンディのカレーが唯一無二たる所以は、ルーだけじゃない。
一緒に添えられた“名脇役たち”が、さらにその世界観を豊かにしてくれるんです。

まず注目したいのが、具材のとろけ具合。
ビーフはスプーンでほろっと崩れるほど柔らかく煮込まれ、口の中に入れた瞬間、繊維がほぐれてルーと一体化していく。
ゴロッと入ったにんじんも、じゃがいもも、噛まずともすっとほどけるやさしさ。
「煮込む」という行為の真髄を見せつけられた気がします。

そして、ライスの上にそっとのっているとろけるチーズ。
この存在が、地味にすごい。
熱々のルーに触れると少しずつ溶け出して、コクとまろやかさがぐっと増す。
ときどきチーズがスプーンに絡む瞬間が、もう…幸せの一口。

さらに忘れちゃいけないのが、別皿で出てくるホクホクのじゃがいも。
バターが添えられていて、そのままでも美味しい。
でも、そこにちょっとカレーをかけて食べると…もはや禁断レベルの美味さ。

カレーだけでも完成されているのに、それをさらに**“食べる楽しさ”に昇華させる工夫**が満載。
この気配りと贅沢さこそが、ボンディ流の「おもてなし」なのかもしれません。

「カレーの完成形」と呼びたくなる一皿

食べ終えたあと、ふうっと深呼吸。
スパイスの余韻が口の中に残って、じんわりと体が温まっていくのを感じる。

目の前にあったのは、ただのカレーじゃなかった。
甘み、コク、香り、食感、満足感——
そのすべてが、一皿の中で完璧にバランスをとっている

たとえばスパイスの使い方。
複雑だけど決して暴力的じゃなくて、
とろける具材やチーズのまろやかさがそれを優しく包み込む。

そして一緒に供されるバターじゃがいもや、静かな店の空気感さえも、
その「一皿の記憶」を彩る大切な要素になっている。

ここで食べるカレーは、**単なる“食事”を超えて、ひとつの“体験”**なんです。

「また食べたい」じゃない。
「またこの時間を過ごしたい」と思わせてくれる——
そんな、まさに**“完成された一皿”**でした。

【深掘り】なぜ、神保町ボンディのカレーは“別格”なのか

欧風カレーのルーツと、ボンディがそのスタイルを確立した存在であること

カレーといえば「家庭の味」や「スパイスの国インド」を連想する人も多いけれど、
実は“欧風カレー”というジャンルには、まったく別の進化の道があります。

そのルーツは19世紀、ヨーロッパに伝わったインドカレーが、
フランスやイギリスで独自にアレンジされ、バターやクリーム、小麦粉を使った濃厚なソース仕立てへと変化していったことにあります。
この“ヨーロッパ流”が、戦後の日本に入り、さらに日本の職人技によって磨き上げられていったんです。

そんな欧風カレーの世界で、**ボンディは“原点”にして“到達点”**とも言われる存在。
1978年、神保町に誕生したこの店は、
フレンチの技法をベースにした濃厚で奥深いカレーソース、ホクホクじゃがいも、そしてとろけるチーズという独自スタイルを確立し、
「欧風カレー=高級感と家庭的ぬくもりの融合」というイメージを世に定着させました。

多くの人が、最初に「欧風カレーってこんなに美味しいのか」と驚く場所。
そして、他の欧風カレーと比べるとき、“ボンディと比べてどうか”が基準になる。
それほどまでに、スタイルを築き、指標になった店なんです。

いわば、ここは“欧風カレーの聖地”。
味だけでなく、その歴史や哲学までも感じられる、まさに名店中の名店。

神保町のカレー文化を牽引してきたパイオニアとしての立ち位置

今でこそ“カレーの街”として知られる神保町。
しかしその文化の土台を築き、今の賑わいへと導いた先駆者がいる——それがボンディです。

1978年、まだ「カレー=大衆食」というイメージが強かった時代に、
この街で**フレンチの技法を取り入れた“欧風カレー”**を打ち出したのはまさに革新。
“濃厚なのに上品”“辛さよりも深み”という価値観を、日本のカレー界に持ち込んだんです。

ボンディの登場以降、神保町には次々と個性派カレー店が集まり始め、
「この街なら、特別な一皿に出会える」
そんな期待と好奇心を連れて、カレーファンが集う街へと変貌していきました。

そして今なお、数ある有名店の中にあっても**“カレーといえば、まずはボンディ”**と語られる存在感は圧倒的。
神保町カレー文化の“始まりの一軒”として、後続の店たちに大きな影響を与え続けています。

カレーの街・神保町における**“象徴”であり、“基準点”であり、“物語の起点”。**
ボンディはまさに、この町のカレー文化を語るうえで外せないパイオニアなのです。

カレー好きが“巡礼”する理由

「ボンディって、そんなに特別なの?」
初めて行く人にそう聞かれたとき、カレー好きはちょっと言葉に詰まるかもしれません。
なぜなら、理屈だけじゃ説明できない“何か”があるから。

濃厚で奥深いルー。
とろける具材と、スパイスの余韻。
カレーと一緒に過ごす、落ち着いた時間。
その全てが、どこか“儀式”的で、心を満たしてくれる。

ボンディは、ただの名店ではありません。
**「ここでカレーを食べてから、自分の基準が変わった」**という人が何人もいる。
それほどまでに、食べた人の“記憶”に深く残る一皿なんです。

だからこそ、わざわざ神保町まで足を運ぶ人がいる。
カレーを食べ歩いてきた人ほど、「やっぱりここに帰ってきたくなる」という。
それはもう、“巡礼”と呼んでも差し支えない行為。

信仰にも似たその想いに、きっとあなたも、ひと口で気づくはず。
「これは、特別だ」って。

【まとめ】神保町に来たら、まずはボンディへ

値段を見て一瞬たじろぐ——ビーフカレー、1700円の壁

メニューを開いた瞬間、目に飛び込んできた「ビーフカレー 1,700円」の文字。
正直言って、ちょっとためらいました。

だってカレーですよ?
どれだけ本格的でも、1,000円ちょっとで満足できるお店が山ほどある中で、
1,700円って…ランチとしてはかなりの“勝負価格”。

でも、それでも注文ボタンを押させてしまう空気感がボンディにはある。
ここまで来たんだし、初めてならやっぱり“看板メニュー”を食べたい。
そして、出てきたその一皿を見た瞬間、思ったんです。
「あ、これはただのカレーじゃないな」と。

丁寧に仕込まれた濃厚ルー、ほろほろに煮込まれたビーフ、
とろけるチーズ、別添えのじゃがいも——
すべてにひと手間以上の“仕事”が感じられる。

食べてみると、味の奥行きがすごい。
甘さから始まり、コク、旨み、そして最後に立ち上がる香ばしいスパイスの余韻。
そのバランスが、「高いけど納得」じゃなくて、「この値段でよく出せるな」と思わせるほど。

もちろん、毎日通える価格じゃない。
でも、“特別な一皿”としての価値は、十分すぎるほどある。

「また食べたいな」って思ったとき、
たぶんもう、値段じゃなくて味の記憶で動いてる自分がいるはずです。

「神保町でカレーに迷ったら、まずボンディで間違いない」

神保町を歩けば、カレー、カレー、またカレー。
インド風、スパイス系、創作系、老舗喫茶風——どの店にも個性がありすぎて、正直…迷います。

でも、そんなときこそ思い出してほしい一言があるんです。
**「まずはボンディに行っとけ」**と。

なぜか?
それは、ボンディが**“欧風カレーというひとつの完成形”を見せてくれる場所**だから。
味のバランス、香りの深み、そして食後の満足感。
すべてが計算されていて、「これぞ名店」と思わせてくれる安心感があるんです。

カレー好きはもちろん、カレーにちょっと苦手意識がある人も、
「ボンディのなら食べられる」「むしろ好きになった」という声、多数。
初心者にも、玄人にもやさしい。それがボンディ。

だから、迷ったらまずここへ。
そしてその一皿を食べ終えたとき、
「次はどんなカレーに出会えるんだろう」と、きっと神保町のカレー巡りがもっと楽しくなるはず。

“最初の一皿”として、ボンディはいつだって正解です。

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