強風の洗礼、春の月山へ — バックカントリー登山と滑走の記録

スノーボード

はじめに

月山とは

月山(がっさん)は、山形県に位置する標高1,984メートルの山で、山形三山の一つとしても知られています。日本海に面したこの山は、特に雪山登山やバックカントリーで人気があり、冬から春にかけてのシーズンに訪れる登山者やスノーボーダー、スキー愛好者にとっては特別な場所です。

月山は、その名前の由来通り、月のように美しい雪景色が広がることから、別名「雪の名山」とも称されます。特に冬から春にかけてのシーズンは、深雪やザラメ雪が魅力的で、バックカントリー愛好者にとっては最高の滑走条件を提供してくれます。広大な斜面とオープンバーン(広い雪原)が特徴的で、自由なライン選びと心地よい滑走が楽しめます。

また、月山は標高がそれほど高くなく、登山初心者でも挑戦しやすい山としても知られていますが、天候の急変や強風、雪崩のリスクなど、バックカントリーにおけるリスク管理が重要です。特に強風が吹くことが多く、そのため事前の天気予報の確認や、装備の準備は欠かせません。

月山は、登山と滑走の両方を楽しむことができる絶好の場所であり、山頂からの絶景も素晴らしく、春には残雪が美しい風景を作り出します。これからの季節、風の強さや雪質の変化など、バックカントリーを楽しむには絶好の舞台です。

4月末を選んだ理由

月山バックカントリーを4月末に選んだ最大の理由は、登山口までの道路が開通するタイミングだからです。毎年、月山の登山口へ続く道路は冬の間、雪によって閉鎖されており、通常は4月末頃にようやく開通します。この時期を狙うことで、雪山登山とバックカントリー滑走を楽しむためのアクセスが格段に便利になるのです。

道路が開通する4月末は、月山の残雪シーズンの中でも特に滑走コンディションが整いやすく、また混雑を避けた静かな山行を楽しむことができます。早い時期だと雪解けが進んでしまい、雪質が悪化してしまうこともありますが、4月末はまだ程よく雪が残り、滑走には理想的な時期です。このタイミングで登山口にアクセスできるのは、まさにバックカントリー愛好者にとっては絶好のチャンスです。

登山計画と装備

ルート概要

今回の月山バックカントリー登山は、姥沢駐車場からスタートし、月山山頂までを目指しました。以下は登山と滑走の主なルートです。

  • 10:59 姥沢駐車場
    姥沢駐車場に到着後、バックカントリー装備を整え、登山開始。
  • 13:16 月山山頂
    月山の頂上に到達!風が強い中での登頂は一層の達成感を感じさせ、周囲の絶景に圧倒されました。
  • 13:35 下山開始
    月山神社付近で休憩後、雪があるところまで降りて滑走を開始。
  • 14:25 リフト上駅
    滑走して通過。
  • 14:34 姥沢駐車場到着
    最終的に姥沢駐車場に戻り、バックカントリー登山と滑走を終了。

【日本百名山】月山 雪山登山【バックカントリー】 / HAL9000さんの月山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

装備リスト

【登山・滑走用装備】

  • スノーボード(またはスプリットボード)、バックカントリースキー
  • シール(クライミングスキン)
  • BCブーツ(またはスキーブーツ)
  • ストック(伸縮式)
  • アイゼン(急登や氷結部分対策)
  • ピッケル(滑落防止用/稜線用)
  • バックパック(30〜40L程度)
  • ヘルメット(滑走時・落石対策)

【安全装備】

  • ビーコン(雪崩対策)
  • プローブ(ゾンデ棒)
  • ショベル
  • ファーストエイドキット
  • ヘッドライト(予備電池込み)

【ウェア・防寒装備】

  • シェルジャケット・シェルパンツ(防風・防水)
  • ミッドレイヤー(フリースまたはインサレーション)
  • ベースレイヤー(吸汗速乾性)
  • グローブ(予備も含めて2組)
  • バラクラバ
  • サングラス(標高による紫外線対策)
  • ゴーグル(滑走時用)

【その他・行動装備】

  • 行動食・補給食(ジェル、ナッツ類など)
  • 水分(ハイドレーションまたはボトル)
  • モバイルバッテリー(スマートフォン用)
  • 地図・GPS端末(アプリ併用)
  • 登山届の提出(事前提出または登山口提出)

当日の天候とコンディション

気温、風、天気

この日の月山バックカントリー登山では、気温は程よく穏やかで、登山中は非常に快適に感じられました。標高が上がるにつれて気温は少し下がりましたが、特に厳しい寒さを感じることはなく、登山に適したコンディションでした。

しかし、山頂付近に差し掛かると状況は一変。強風が吹き荒れ、風速は相当なものでした。風の冷たさと強さに一瞬足を止める場面もありましたが、その分、山頂に立ったときの達成感は格別でした。風に押される中で、気を引き締めつつ慎重に行動しました。

天気は終始快晴。青空が広がり、月山の美しい雪景色が目の前に広がりました。風の強さを除けば、視界は抜群で、登山者にとっては最高のコンディションと言える日でした。快晴の中での滑走は、風の中の静けさを感じる瞬間でもあり、自然の美しさと力強さを肌で感じることができました。

雪の状態

この日の月山では、登りも下りも長いトラバースが多く、体力を消耗する場面が続きました。特に登りでは、雪がズルズルと崩れてしまう箇所がいくつかあり、足元が不安定で登りづらい部分もありました。雪面が完全に固まっているわけではなく、ザラメ雪が崩れやすい状態だったため、慎重に足を運ぶ必要がありました。

下りでも長いトラバースが続いたため、体力的には大変でしたが、雪質自体はほどよく緩んでいて、滑りやすさは適度に保たれていましたが、ずっとつま先側に力を込めて滑るので足への疲労がたまる滑走でした。

登攀記録

登山口スタート

この日のスタート地点は姥沢駐車場。天気は快晴、絶好のバックカントリー日和となりました。
まずはリフトを利用して標高を一気に稼ぎ、そこから本格的な登りに入ります。

登りの様子

リフトを降りた後は、長く続くトラバースを慎重に進むことに。春のザラメ雪の上を歩き続けるうちに、じわじわと体力を奪われる感覚がありました。

山頂に近づくにつれ、強風が激しく吹き付け、風に体を持っていかれそうになる場面も。進むごとに一歩一歩が重くなりましたが、晴れ渡った空と目指す頂が力を与えてくれました。

山頂到達

長いトラバースと強風に耐え、ついに月山の山頂へと到達しました。
山頂周辺は相変わらず猛烈な風が吹き荒れており、立っているのもやっとの状態。慎重に体を低くしながら、わずかな時間だけ山頂の景色を味わいました。

目の前に広がる真っ白な雪原と、遠くの山々の稜線。澄み渡った空の下、風の音だけが響き渡る静かな世界に、自分がいることの実感が込み上げてきました。
山頂では何とか記念撮影すませ、短時間で行動を終え、すぐに下山準備へ。
強風と戦いながらも、目標だった山頂に無事立てたことに、大きな達成感を覚えました。

滑走記録

滑走ルートの選定

山頂からの滑走では、最初のわずかな区間だけ自由にラインを選んで滑ることができました。
広大な雪原を自由に滑る感覚は本当に爽快でしたが、それも束の間。すぐにゲレンデ方面へ戻るための長いトラバースに入る必要がありました。

ルート選びに工夫の余地はありましたが、地形と最終目的地を考えると、どうしてもトラバース主体にならざるを得ないルートでした。

雪質とラインの感想

走開始直後の雪質はザラメ状で、適度に緩んでおり、とても滑りやすいコンディションでした。エッジもしっかり効き、ターンもスムーズに決まり、最初のオープンバーンでは気持ちよく滑ることができました。

その後のトラバース区間は滑るというよりも、横移動の連続。傾斜も緩く、スピードも出にくかったため、スノーボードでは特に苦戦しました。思う存分滑る、というわけにはいかず、移動の大変さのほうが印象に残る滑走となりました。

振り返りと反省点

良かった点

この日の最大の収穫は、天気が素晴らしく良かったことでした。雲ひとつない快晴の空の下、広大な雪原と遠くに連なる山々を眺めながらの登山と滑走は、まさに特別な体験でした。

また、月山は日本百名山のひとつ。その名峰で実際に滑走できたというのは大きな達成感につながりました。雪山と百名山、両方の魅力を一度に味わえるのは、なかなか得がたい経験です。

さらに、リフトを利用したことで、実際に登る高さが比較的少なく、お手軽に山頂を目指せたのも良かった点です。体力的な負担を抑えながらも、本格的なバックカントリー気分を味わえるのは、春の月山ならではの魅力だと感じました。

改善すべき点

今回の山行で最も大変だったのは、とにかく風が強かったことです。特に山頂付近では立っているのもやっとの暴風で、滑走や行動中も常にバランスを取ることに神経を使わなければなりませんでした。天候が良かっただけに、風の強さだけが悔やまれるポイントでした。

また、ルート選択の面でも課題を感じました。ゴール地点に戻るためにどうしても長いトラバースを強いられるルート取りとなり、自由に気持ちよく滑れるラインを選ぶことが難しかったです。もっと滑走重視でルートを工夫したり、滑走専用のラインを最初から計画しておくなど、事前の検討がさらに必要だと感じました。

まとめ

月山バックカントリーの魅力

月山のバックカントリー最大の魅力は、日本屈指の春山シーズンを誇る雪質とスケール感にあります。
4月末からリフトが稼働し、標高を一気に稼げるため、比較的楽に雪山の本格的な世界へアクセスできるのも大きな特徴です。

広大なオープンバーンが広がり、晴れた日にはどこまでも続く青空と純白の雪面のコントラストが圧倒的な美しさを見せてくれます。
また、適度に緩んだ春のザラメ雪は、エッジがしっかり噛み、滑り心地も抜群。
強風など自然条件に注意は必要ですが、それもまた春山らしいスパイス。
「自然の厳しさと美しさを一度に味わえる」のが、月山バックカントリーの大きな魅力です。

山頂に立ったときの達成感、そこから滑り降りる自由さは、ここでしか味わえない特別な体験でした。

【日本百名山】月山 雪山登山【バックカントリー】 / HAL9000さんの月山の活動データ | YAMAP / ヤマップ

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