はじめに
上ノ廊下とは

黒部川上ノ廊下(くろべがわ かみのろうか)は、北アルプス・黒部峡谷の上流部に位置する、日本屈指の沢登りルートです。標高約1,000〜1,500mの深い峡谷に刻まれた渓谷で、両岸は切り立った岩壁に囲まれ、谷は狭く、水は澄みきって流れ落ちています。
その美しさから「沢登りの聖地」と呼ばれる一方で、ゴルジュ(両岸が迫った狭い峡谷)や大滝の突破、連日の徒渉やビバークなど、登山者の技術・体力・経験を試す非常に厳しい舞台でもあります。
古くから多くの沢屋にとって憧れの場所であり、挑戦とロマンが詰まったルートですが、同時に「一歩間違えば命に関わる」厳しさも兼ね備えています。そのため、十分な準備と経験を持った人にのみ開かれた特別なフィールドといえるでしょう。
上ノ廊下を歩くことは、単なる登山を超え、黒部の自然と真剣に向き合う体験です。水と岩の織りなす原始的な景観の中で、自分自身の限界と向き合いながら進む道は、多くの登山者にとって忘れられない冒険となります。
目的・選んだ理由

黒部上ノ廊下に挑戦することは、沢登りを続けてきた私にとって長年の目標でした。日本には数多くの沢がありますが、その中でも上ノ廊下は「沢登りの最難関」と呼ばれる特別な存在です。
両岸を切り立つ岩壁に挟まれたゴルジュ帯、深い淵をへつり、滝を越え、時には冷たい水に浸かりながら前進する。そのすべてが、通常の登山では味わえない緊張感と達成感を与えてくれるからです。
また、この挑戦を決めたのは「自分の限界を試したい」という思いもありました。これまで数々の沢を経験してきましたが、黒部上ノ廊下は別格。安全に歩き切るためには、体力だけでなく判断力、仲間との連携、そして自然への謙虚な姿勢が不可欠です。
なぜ上ノ廊下なのか――。それは、美しい渓谷をただ訪れるのではなく、自分自身の全てをかけて自然に挑む「本物の冒険」がここにあると感じたからです。
準備編
装備リスト(必携装備・軽量化の工夫)
黒部上ノ廊下は長期行程かつゴルジュ突破が連続するため、装備の選択がそのまま安全性と快適性につながります。ここでは私が実際に携行した装備と、軽量化の工夫をまとめます。
■ 必携装備
- 沢靴:フェルトソール or スパイクソール。滑りやすいナメ床や淵のへつりで信頼性のあるもの。
- ヘルメット:落石やスリップ対策。軽量タイプを選択。
- ハーネス・沢用スリング:滝の高巻きや懸垂下降に必須。
- ロープ(30m前後):滝の通過や万一の確保用に。
- 沢用ザック(防水性重視):中身はドライバッグで小分けに。
- レインウェア & 防寒着:冷水で体温を奪われやすいため必須。軽量な化繊インサレーションが安心。
- シュラフ・マット:軽量コンパクトな化繊シュラフを使用。ビバーク想定で必携。
- 炊事道具(バーナー・コッヘル):軽量アルコールストーブやチタン製クッカーを選択。
■ 食料計画
- 行動食:ナッツ、ドライフルーツ、ようかん、エナジーバー
- 主食:アルファ米、フリーズドライ食品、即席ラーメン
- 軽量化のため、1日分ごとにパッキングして取り出しやすく工夫
■ 軽量化の工夫
- 一つで二役の装備を活用(例:タープをシェルター兼用、シュラフカバーを防寒具にも活用)
- チタン製ギアで軽量化(コッヘル・スプーン)
- 防水対策を兼ねた圧縮バッグでパッキング効率を上げる
- 共同装備を分担(ロープ・バーナー・テント等)して個人負担を減らす
■ あると便利なもの
- 防水グローブ(冷水から手を守る)
- 小型ソーラーパネルやモバイルバッテリー(長期行程用)
- ダクトテープ(靴・装備の応急修理に活躍)
食料計画(行動食・ビバーク食)
黒部上ノ廊下の行動は長時間にわたり、冷水や岩場で体力を消耗しやすいため、食料計画は安全な遡行に直結します。ここでは私が実際に用意した内容を紹介します。
■ 行動食(歩きながら食べられるもの)
- ナッツ&ドライフルーツ:軽量で栄養価が高く、疲れたときの即エネルギー源。
- ようかん・ゼリータイプの補給食:水分補給と糖分チャージを兼ねて。
- エナジーバー:チョコ系やプロテイン系を混ぜて飽き防止。
- 塩飴・梅干し:大量発汗時の塩分補給に。
👉 行動中は「立ち止まらずに口へ放り込めるもの」を中心にしました。
■ ビバーク食(泊まり用のしっかりした食事)
- アルファ米(山菜ごはん・ドライカレーなど):お湯や水を入れるだけで食べられる。
- フリーズドライ食品(みそ汁・スープ):体を温め、塩分補給にも有効。
- 即席ラーメン(袋麺):カロリーが高く、疲労時でも食べやすい。
- レトルト食品(カレー・中華丼):重量はあるが「ご褒美メニュー」として一部携行。
- 乾燥具材(ネギ・わかめ・きのこ):スープやラーメンに加えてバリエーションを出す。
■ 軽量化の工夫
- 1日ごとにジップロックで小分けしてパッキング → 迷わず取り出せる。
- ゴミは全て圧縮して持ち帰り → 重さは減らせないが嵩を抑えられる。
- 高カロリー優先(脂質や糖質多めの食材を選ぶ)。
地図・ルート研究(過去の記録・注意点)

黒部上ノ廊下を遡行するにあたって、最も重要なのは事前のルート研究です。一般登山道とは異なり、明確な道標や整備はなく、岩壁に囲まれたゴルジュ帯では「進む」「高巻く」「へつる」といった判断をその場で迫られます。そのため、事前の地図確認と過去の記録の読み込みが欠かせません。
■ 地図の準備
- **国土地理院地形図(1/25,000)**をベースにルートを確認。水線や等高線の詰まり具合を見て、ゴルジュや滝の位置を把握。
- 沢登り用トポ図(山岳会や専門書の資料)を参考に、難所の特徴をチェック。
- 主要な遡行ポイント(滝、ゴルジュ、ビバーク適地)に付箋や書き込みを行うことで、現地での判断を助ける。
■ 過去の記録から学ぶ
- 山岳会や個人ブログの記録を参照し、水量や天候ごとの違いを比較。
- 失敗や撤退の記録も貴重な情報源。どの状況で進退を決めたのかを確認。
- 近年の遡行記録は、気候変動による水量の変化や崩落状況の最新情報を得るのに有効。
■ 注意点
- 水量の影響が極めて大きい
前日や当日の天気によって、通過可能なゴルジュが一気に突破不能になることがある。 - 高巻きルートは不明瞭
地図上では単なる斜面に見えても、実際には急峻な崖やザレ場で危険な場合が多い。 - エスケープルートが限られる
両岸の岩壁が迫るため、途中撤退が難しい。基本的に「進むか戻るか」の二択になる。 - 通信手段が乏しい
携帯はほとんど圏外。最新の情報は入山前に確認しておくことが必須。
アクセスとアプローチ
スタート地点までのアクセス

黒部上ノ廊下は深い峡谷の中に位置しており、一般登山道のように簡単にアプローチできる場所ではありません。入山口までのアクセスをしっかり把握しておくことが、計画の第一歩となります。
■ 一般的なアプローチ方法
- 折立(富山県側)から太郎平・薬師沢を経て入渓
北アルプス裏銀座方面からアプローチする最も一般的なルート。折立から太郎平小屋を経て薬師沢へ下り、そこから黒部川へ降り立つ。行程は長いが、整備された登山道を利用できるのがメリット。 - 室堂から雲ノ平・薬師沢経由で入渓
立山黒部アルペンルートを利用して室堂へ入り、雲ノ平方面へ縦走して黒部川へ降りるルート。アクセスは良いが縦走路のアップダウンが多く、時間と体力を要する。 - 扇沢駅から黒部ダムを経由して入渓
扇沢駅からからのアプローチ。電気バスに乗り黒部ダムまで移動。平小屋まで徒歩で移動後に渡り船を経由し奥黒部ヒュッテまで徒歩で移動。水平移動が長いルート。
■ アクセスの注意点
- 入山口までの移動時間が長い
折立や新穂高まで公共交通機関を使う場合は、事前にバスの時刻表を必ず確認。マイカーの場合は駐車場の混雑に注意。 - 入山届の提出
富山県警や岐阜県警へのオンライン提出、または登山口での提出が必須。 - 天候と水量の事前チェック
スタート地点に立った時点で「進むかどうか」を判断できるよう、直近の降雨量や天気予報を調べておくこと。
■ 実際に感じたこと
私は扇沢駅えきから奥黒部ヒュッテを経由し入渓しました。入渓までの水平移動が長く、登山道はただただ作業という感じです。
入山届や天気チェックのポイント
黒部上ノ廊下に挑戦する際、計画段階で最も大切なのは「入山届の提出」と「天気の事前確認」です。これらを怠ると、思わぬリスクに直結します。
■ 入山届

- 提出先:富山県警や岐阜県警のオンライン登山届システムを利用可能。登山口にあるポストへ提出する方法もあります。
- 記入内容:メンバー構成、行程表、装備一覧、緊急連絡先を正確に記入。
- 重要性:黒部上ノ廊下はエスケープルートが極端に少ないため、万一遭難した場合に捜索活動の初動を左右する。
👉 私の場合も、行程を細かく区切って書き込みました。「薬師沢に○日目到着予定」といった具体性を持たせることで、もしものときに情報が役立ちます。
■ 天気チェック
- 直前までの降雨量を確認:黒部川は水量変化が激しく、前日までの雨でも一気にゴルジュが突破不能になることがあります。
- 信頼できる気象情報の併用
- 気象庁天気予報
- 山岳天気予報(tenki.jp / ヤマテンなど)
- 雨量観測データ(国土交通省の川の防災情報)
- 台風や前線通過時は中止を決断する勇気も必要です。
👉 私自身、入山前にヤマテンの「黒部川流域の降雨量」を確認し、数日前の降雨が少なかったことを確認してから決行しました。沢登りでは「曇りで雨がない」ことが最高の天気と実感します。
沢登り本編(行程記録)
Day 1:入渓〜第一の難所

奥黒部ヒュッテを出発し、黒部川の流れへと降り立つ。背後には静かな山小屋がありながら、目の前には切り立った岩壁と深い流れが広がり、まるで異世界の入口に足を踏み入れたような気持ちになる。
入渓した瞬間から黒部の迫力は容赦がない。透明な水面の下では岩がくっきりと見えるほど澄んでいるのに、実際に足を入れると流れの強さに驚かされる。水温は鋭いほど冷たく、沢登りというより修行に近い感覚を覚える。
午前中は比較的歩きやすい河原やナメ床が続き、まだ体も軽やかだった。しかし進むにつれて谷はどんどん狭まり、両岸の岩壁が迫ってくる。黒部特有のゴルジュ帯の始まりだ。
やがて現れた第一の難所。川幅が一気に狭まり、轟音を立てて流れる水が行く手を阻む。直進は不可能で、右岸の岩壁をへつりながら進むしかない。岩は濡れて滑りやすく、下を流れる深い淵を意識すると体が固まる。呼吸を整え、慎重に体重を移し替え、一歩一歩確実に進んでいく。緊張の中、無事に突破できた瞬間、胸の奥から熱い安堵感が湧き上がった。

夕方、広めの河原に出て初日のビバーク地を決める。仲間と焚き火を囲み、冷えた体を温めながら簡単な食事を取る。黒部上ノ廊下はまだ始まったばかりだが、すでに「ただの登山とは違う世界」に足を踏み入れた実感があった。
Day 2:核心部とビバーク体験

二日目、黒部上ノ廊下はいよいよ核心部へと入った。谷はさらに狭まり、轟音を立てる水流が目の前に迫る。進むごとに「突破できるか」「戻るべきか」の判断を突きつけられる。
やがて、行く手に「口元のコル」と呼ばれる難所が現れた。両岸が迫り、水流は怒涛のように狭い谷を走り抜けている。通常でも突破が難しい場所だが、この日は明らかに水量が多く、立ち止まった瞬間に「これは無理だ」と直感した。仲間と何度もルートを探ったが、いずれも危険すぎる。挑戦を続ければ、必ず命を危険にさらすことになる。
私たちは悔しさを飲み込み、撤退を決断した。山では「前進する勇気」以上に「退く勇気」が試される。黒部の谷は、その厳しさを突きつけてきた。
撤退を決めたその夜、狭い岩場でビバークをした。焚き火の炎が小さく揺れ、疲労と冷え込みの中で黙々とアルファ米を口に運ぶ。仲間と多くを語らずとも、「無事に帰る」ことの意味を全員が理解していた。
見上げれば、狭い谷の間から星空がのぞいていた。登頂や突破の喜びは得られなかったが、「自然の大きさを前に人間がどれほど小さいか」を深く刻まれた夜だった。黒部はやはり、人の思い通りにはならない場所だと痛感した。
Day 3:撤退からの爆釣ビバーク

水量が多すぎて口元のコルを突破できないと判断し、私たちは撤退を決めた。悔しさが胸に残るものの、「無理をすれば命を落とす」という黒部の厳しさを前にすれば、その選択は迷いのないものだった。黒部は挑む者に夢を見させ、同時に容赦なくその夢を断ち切る場所でもある。
撤退の道すがら、川辺で足を止めると無数の魚影が走った。竿を出してみると、信じられないほどのアタリが連続する。イワナ、ニジマスが次々に掛かり、あっという間に夕食分を超える大漁となった。黒部の川は、厳しさと同時に、思いがけない恵みを与えてくれる。

その夜は河原に腰を下ろし、焚き火を囲んでの“爆釣ビバーク”となった。炭火で炙ったイワナは香ばしく、冷え切った体と心にじんわりと染み渡っていく。アルファ米やレトルトでは味わえない贅沢なごちそうに、仲間の表情も自然とほころんだ。

撤退という選択は悔しかった。しかし、火のはぜる音と川のせせらぎに包まれながら新鮮なイワナを食べるひとときは、この旅を別の意味で特別なものにしてくれた。黒部は挑戦者に厳しさを与える一方で、こうした「自然の豊かさ」も忘れずに与えてくれる。
核心部を突破することはできなかったが、この爆釣ビバークの夜は、きっと一生忘れられない黒部の記憶になるだろう。
Day 4:脱渓〜下山

黒部の核心部を前に撤退を決めた私たちは、慎重に来た道を戻りながら脱渓地点を目指した。谷を進むときには緊張でいっぱいだった滝やゴルジュも、下るときには少し余裕を持って通過できる。しかし同時に「本流を突破することは叶わなかった」という悔しさが、胸の奥に重く残っていた。
やがて黒部川を離れ、沢を詰めて稜線へと上がる。濃い緑に包まれた谷底から一歩ずつ高度を稼ぎ、振り返ると、切り立った黒部の岩壁が小さく見えていた。あの谷の奥には、まだ未知の景色が広がっている。次こそは、と心の中で誓う。
稜線に出ると、風が吹き抜け、空の広さに思わず深呼吸をした。谷底では絶えず響いていた水音が消え、代わりに鳥の声と風の音だけが聞こえる。緊張から解放された安堵感と、冒険が終わってしまった寂しさが入り混じる瞬間だった。

下山路を辿り、登山口に戻ったとき、仲間と顔を見合わせて自然に笑みがこぼれた。「無事に帰ってこられた」という事実が、何よりも大きな収穫だった。核心部を越えることはできなかったが、黒部の厳しさと豊かさを肌で感じたこの数日は、確かな経験として心に刻まれた。
感想・まとめ
黒部上ノ廊下を終えて感じたこと

今回の黒部上ノ廊下は、核心部を前に水量の多さから撤退を余儀なくされた。しかし、その決断こそが黒部というフィールドの厳しさを物語っているのだと思う。自然は人の都合には決して合わせてはくれない。だからこそ、そこに挑むことは、謙虚さと冷静さを常に持ち続ける試練でもある。
悔しさは残る。それでも「無事に帰ってくること」が何よりも大切であり、今回はその目的を果たせた。それだけで十分価値のある挑戦だったと思える。撤退の中にも学びがあり、そしてあの爆釣の夜や谷底の星空は、成功や失敗を超えて忘れられない思い出となった。
黒部上ノ廊下は、ただの沢登りではない。自然と真正面から向き合い、自分の限界を試す舞台だ。そして同時に、仲間との絆を深め、自然の恵みを味わい、人生に深く刻まれる時間を与えてくれる場所でもある。
次に挑むときは、もっと経験を積み、より良い判断ができるよう準備したい。黒部は厳しくも美しい、何度でも立ち戻りたくなる沢だった。今回の挑戦は終わったが、私の黒部上ノ廊下はまだ始まったばかりなのかもしれない。
今後挑戦する人へのアドバイス

黒部上ノ廊下は、間違いなく日本でも屈指の沢登りの舞台だ。しかしその美しさの裏には、常に危険が潜んでいる。これから挑戦する人には、ぜひ次の点を心に留めてほしい。
まず第一に、安全を最優先にすること。水量や天候によって状況は大きく変わり、前日までは通過可能だった場所が、翌日には突破不可能になることもある。少しでも「危険だ」と感じたら、迷わず撤退を選ぶ勇気を持ってほしい。無事に帰ることが最大の成功である。
第二に、事前準備の徹底だ。過去の記録や地図を読み込み、想定される難所やエスケープルートを頭に入れておくこと。そして装備は「軽さ」と「確実さ」のバランスを意識する。余計な荷を減らす工夫をしながらも、安全に直結するロープや防寒具は決して削ってはいけない。
第三に、心構え。黒部は人間の力を試す場所であると同時に、自然の大きさを痛感させる場所でもある。成功に固執せず、時には立ち止まり、谷の美しさや星空を味わう余裕を持つことで、黒部上ノ廊下はより豊かな体験となるはずだ。
最後に、この沢は決して一人で挑む場所ではない。信頼できる仲間と互いに声を掛け合い、判断を共有しながら歩くことが、最大の安全につながる。
黒部上ノ廊下は、決して易しい道ではない。しかし準備を整え、自然に敬意を払い、仲間と共に挑めば、人生に深く刻まれるかけがえのない体験となるだろう。
また挑戦したいかどうか
黒部上ノ廊下を歩き終えて率直に思うのは、「もう十分かもしれない」という気持ちだ。厳しさも、美しさも、そして撤退という現実も、身をもって体験した。体力的にも精神的にも、大きな負荷を背負うこの沢を、もう一度自ら進んで挑もうという気持ちは正直あまり湧いていない。
それでも、この沢の話をし、もし「ぜひ一緒に挑戦したい」という仲間が現れたなら、その時には心が動くかもしれない。自分一人では再挑戦の気持ちは薄いが、信頼できる仲間と共に歩むのなら、もう一度黒部の谷に足を踏み入れてみたいと思う可能性はある。
黒部上ノ廊下は、自分にとって「再挑戦したい場所」というよりも、「一度挑んだからこそ強烈に記憶に残る場所」なのだろう。そうした意味で、この沢は特別な存在として、これからも心の中に生き続けていくと思う。
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