はじめに:泊まりで草加健康センターへ


屋久島登山の旅を終えた帰り道、最後にもう一つ、自分へのご褒美を用意していました。
それが、以前からずっと気になっていた「草加健康センター」のサウナです。
帰りの飛行機は羽田着で23時ごろ。都内に戻ってホテルを取るには中途半端な時間だし、どうせなら泊まりでしっかり“ととのい”たい──。そんな思いから、空港からアクセスもしやすく、24時間営業&仮眠スペース完備の草加健康センターに一晩お世話になることにしました。
SNSやサウナー仲間の間では“聖地”とも呼ばれている草加健康センター。ロウリュの評判が高く、サウナ室の熱さや水風呂のキレも一級品という話は聞いていて、ずっと行ってみたいと思っていた場所です。
登山の疲れを癒やしながら、ととのいに身を委ねる一夜。今回はその泊まり体験をレポートします。
チェックインと第一ととのい

屋久島登山を終え、飛行機で東京に戻った夜。
時間は遅く、宿を取るにも中途半端なタイミング。そんなとき頭に浮かんだのが、以前から気になっていた「草加健康センター」でした。
登山の疲れを癒すにはサウナがいちばん。そして今日は、泊まりでしっかり“ととのう”つもりで向かいます。
移動は自家用車。深夜の一般道は驚くほど静かで、信号に照らされた道を淡々と走る時間は、屋久島の森を抜けた帰り道とどこか重なって感じられました。
ドライブというより、静かな“余韻の延長”。目的地に着くころには心の準備も整っていました。
草加健康センターに到着したのは深夜0時ごろ。駐車場に車を停めて建物を見上げると、ほんのりとした昭和レトロの灯りが、どこか懐かしく迎えてくれます。受付を済ませ、館内着に着替えた瞬間、もう体がふわっと軽くなるような感覚。
浴室へ向かうと、人も少なく静かな空間。
まずは湯船で登山疲れをゆっくりと解きほぐし、いよいよ本命のサウナ室へ。
草加のサウナは、噂に違わず、湿度高めでしっかり熱い。それでいて、どこかやさしい包容力がある。タイミングよくオートロウリュも入り、汗が一気に噴き出していく。これだ、これを求めていた。
水風呂はキンと冷えていて、疲労感をすべて押し流してくれるよう。
外気浴では、夜風がちょうどよく、深夜という時間帯もあって周囲はとにかく静か。目を閉じると、都会にいることを忘れてしまうほど。
「泊まりにして、本当に良かった」
そう実感させてくれる、最高の“第一ととのい”でした。
サウナ後の仮眠

何セットかサウナと外気浴を繰り返し、すっかり体も心も“ととのいきって”しまったところで、少しだけ横になることにしました。
泊まりだからこそできるこの贅沢──「もう帰らなくていい」という安心感は、サウナの満足度を何倍にも引き上げてくれます。
草加健康センターの仮眠スペースは、リクライナーが並ぶ静かな空間。
照明も控えめで、テレビの音もほとんど気にならないレベル。空いていた席に体を沈めた瞬間、まるで体が椅子に吸い込まれていくような脱力感がありました。
登山で疲れ切った体に、サウナと水風呂で刺激を与えたあとのリクライニングチェア──もう、何かを考える余裕なんてありません。
タオルケットをかけて目を閉じると、すぐに意識がふっと遠のいていきました。
あたたかくもなく、寒くもなく、ちょうどいい室温。遠くで誰かの寝息が聞こえる程度の静寂。
深い眠りではなかったけれど、サウナの余韻をまとった“ととのいの夢”を見ているような、そんな時間でした。
夜が明ける前の数時間、ぐっすりではないけれど、確かに回復していく感覚。
ただ眠るだけでなく、“癒やされる”という言葉がしっくりくる、そんな仮眠でした。
明け方サウナと早朝の水風呂体験

目が覚めたのは、まだ外がうっすらと暗い明け方。
仮眠からゆっくりと意識が戻ってきた瞬間、不思議と体は重くなく、むしろすっきりと目覚めていました。
あたりを見回すと、まだ静かな仮眠スペース。せっかくならこのタイミングで──と、再び浴室へ向かいます。
夜のととのいも最高だったけれど、朝のサウナにはまた違った魅力があります。
浴室はほんの少しだけ明るくなっていて、ガラス越しの空もわずかに白み始めている。人影も少なく、まるで貸切状態。
サウナ室に入ると、熱はしっかりとキープされていて、それでいて夜中よりもどこかやわらかい。
寝起きの体に、ゆっくりと蒸気がしみこんでいくような、そんな感覚。
一晩かけて完全にリセットされた体に、サウナの熱がすっと染み渡っていくのがわかります。
そして、水風呂。
この時間帯の水風呂は、まさに“朝のキレ”とでも言いたくなるような清涼感。
夜よりもひんやりと冴えていて、肌にあたる水が少しだけ鋭く、それがまた気持ちいい。
目が一気に覚め、頭がクリアになっていく。
外気浴は、夜の静けさとはまた違った空気。
朝に向かって動き出す世界の気配を感じながら、ほんの少し肌寒い風を受けて座る時間は、とても静かで、とても心地よい。
登山の疲れ、夜のととのい、そして眠り。すべてを経た今、ようやく「完全に整った」と実感できる瞬間でした。
朝のととのいには、夜の熱さとは違う、清潔で前向きな静けさがある──そう思える、貴重な体験でした。
泊まりだからこそ味わえた「静のととのい」

草加健康センターに泊まってみて、改めて感じたのは──
“ととのい”には、音や熱だけでなく「時間」も大事な要素なのだということ。
日帰りサウナではどうしても、スケジュールが頭の片隅に残っていて「あと一セットだけ」「次の予定に間に合うように」なんて、どこか急いでいる自分がいる。
でも今回のように、泊まりという余白のある時間を持てたことで、心が完全にフリーになった。
「帰らなくていい」と思える安心感が、サウナの熱も、水風呂の冷たさも、外気浴の風も、すべて一段深く味わわせてくれた気がします。
とくに印象的だったのは、深夜の静まり返った浴室で、誰にも気を使うことなく、ただじっくり蒸される時間。
目を閉じれば、周囲の音も、自分の呼吸も、ゆっくりと沈んでいく。
そのあとの仮眠、そして明け方のサウナと水風呂──すべてが緩やかな流れの中にあって、日常では味わえない「静のととのい」に包まれていました。
派手さはないけれど、確かに深く満たされるものがあった。
これは泊まりじゃなきゃ、絶対に味わえなかった体験です。
旅の締めくくりとしての“泊まりサウナ”。
そして、夜から明け方にかけて静かにととのっていく時間。
草加健康センターは、そんな“静かな贅沢”を教えてくれる場所でした。
まとめ:草加健康センターで一晩すごして変わったこと

屋久島登山の締めくくりとして、ふと思いつきで立ち寄った草加健康センター。
疲れた体を癒やすだけの“手段”として訪れたつもりが、気づけばそれ以上の時間を過ごしていました。
サウナ、水風呂、外気浴──どれも普段通りの流れなのに、「泊まり」という選択ひとつで、すべての感覚が変わる。
焦らず、無理せず、自分のペースで“ととのい”に向き合える時間。
夜の静けさに包まれた深夜のサウナ、意識がふわっと浮かぶような外気浴、誰にも邪魔されない仮眠。
そして、目覚めとともに迎える早朝の水風呂の清冽さ。
身体の疲労が取れたのはもちろんですが、それ以上に「思考が静まった」感覚が残っています。
せかせかと日常に追われていた心に、ひと晩かけて、じわじわと静けさが浸透していくような──そんな時間でした。
サウナは単なるリフレッシュではなく、自分の内側と向き合う“間”でもある。
そのことを、草加健康センターで一晩過ごすことで、改めて実感できた気がします。
また疲れたとき、リセットしたいとき。
次もきっと、ここに来よう。
泊まりで、ととのうために。
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